公正証書遺言の開示請求

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Q1.公正証書遺言について教えてください。
A1.
 公正証書遺言とは、遺言者が公証人に対して遺言の内容を伝え、公証人がこれを文書化した遺言のことです。


Q2.自筆遺言証書に対するメリットはありますか。
A2.
 民法上、自筆証書遺言は厳格な様式が求められています。その点、法律の専門家である公証人が作成する公正証書遺言は、そのような様式が求められていません。
 また、公証人は遺言者と面談し遺言内容を聴き取る際に、遺言者の意識レベルも確認しますので、無効とされるリスクが小さく、さらには偽造・改ざん・紛失のリスクも極めて小さい遺言です。


Q3.法定相続人は、遺言者の生前に公正証書遺言を見ることは出来るのですか。
A3.
 遺言者が生きている間は、遺言者自身またはその代理人のみが公正証書遺言の開示請求をすることができます。
 遺言者の配偶者や子など、将来相続人になる可能性が高い者でも遺言者の生前中は開示請求をすることができません。


Q4.それでは、遺言者が亡くなった後ではどうですか。
A4.
 遺言者が亡くなった後は、「法律上の利害関係を有する者」(※)またはその代理人は遺言の開示請求をすることができます。
※  利害関係人は、法定相続人のほか、受遺者、遺言執行者などを指します。


Q5.公正証書遺言がどこの公証役場に保管されているかが分からない場合は、どうしたらいいのですか。
A5.
 その場合は、まず公正証書遺言を検索することになります。昭和64年1月1日以降に作成された公正証書遺言であれば、公証役場の遺言検索システムを使って、公正証書遺言がどこの公証役場で保管されているかを調べることができます。公証役場に出かける必要がありますが、どこの役場でも無料で検索できます。


Q6.検索して特定の公証役場に公正証書遺言が保管されていることが分かった場合、どのように開示請求をするのですか。
A6.
 まず、当該公証役場に電話で公正証書の閲覧、または正本あるいは謄本の交付請求をしたい旨伝え、訪問日時を打ち合わせてください。そのうえで、必要書類(※)を取り寄せるなどして準備します。そして、打合せ指定日に公証役場に出向き公正証書の閲覧または交付申請を行い、必要書類を提出してください。
※  必要書類は、遺言者の死亡確認のための除籍謄本、利害関係人の戸籍謄本・印鑑証明書・身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)などです。


Q7.遺言者の自筆遺言証書が見つかった場合、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが優先するのですか。
A7.
 遺言書は公正証書であろうと自筆証書であろうと、そこに優劣はありません。
 ただし、作成日が新しい遺言が優先しますので、せっかく公正証書遺言を検索し見つかっても、あとでそれより新しい日付の自筆証書遺言が見つかれば自筆証書遺言が優先することになります。


Q8.新しく、法務局で自筆証書遺言を保管する制度ができたと聞いたことがあるのですが。
A8.
 令和2年7月に開始された自筆証書遺言書の保管制度は、それまで自筆の遺言書について問題となっていた、紛失や相続人による改ざん等の問題を解消し、相続をめぐる争いを防止するための制度です。
 本人の死後は、あらかじめ指定された相続人等の代表者に、故人が遺言書を預けていたことが通知されるため、遺言書の存在に誰も気づかないという事態も避けられます。また、本人の死後は相続人等から遺言書の有無や内容を確認することが可能ですが、相続人の誰かが遺言書の内容を確認した場合、他の相続人に対して法務局から通知がいくので、公平性も担保されています。

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