労働審判制度をご存知ですか 1、制度の概要 労働審判法は平成16年5月12日に成立し、平成18年4月1日から施行されました。 この制度は、個別労働関係紛争を対象とし、地方裁判所において設置される労働審判委員会が、原則として3回以内の期日において事件を審理し、調停(話し合い)による事件の解決を試みつつ、それで解決できない紛争については、権利関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決案(労働審判)を定める非訟事件手続(訴訟事件とは異なり、裁判所が後見的な立場から、裁量権を行使して権利義務関係の具体的内容を形成する手続)です。 以上のような労働審判手続は、簡単に言えば、 (1)個別労働紛争(労働組合等の団体ではなく、個々の労働者と事業者との間の紛争)の 解決手続であること、 (2)裁判所における紛争解決手続であること、 (3)裁判官の他に、労働関係の専門知識を有する民間人が審判員として参加する専門性が あること、 (4)非訟事件手続であること、 (5)原則3回以内の期日で終結させる迅速簡易な審理を行う手続きであること、 (6)訴訟との連携が図られていること、 などの特色をもっています。 2、“言いたいことを言い尽くす” この制度を利用する場合は、迅速な解決のために第1回期日において、主張・争点整理、証拠調べ(審尋)を行なうので、冒頭から口頭でも“言いたいことを言い尽くす”ことが大切とされています。 3、労働審判の告知と調書 調停がまとまらない場合、労働審判委員会は、審理の結果認められる当事者の権利関係及び労働審判手続の経過を踏まえて、労働審判を行います。そして、審判によって一定の結論が出されると、異議の申立がない限り、裁判上の和解と同一の効力を有することになります。 4、異議の申し立てと訴訟への移行 審判に対し、2週間以内に異議を申し立てると、労働審判は効力を失い、労働審判申立時に労働審判事件が係属していた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされ、訴訟に移行することになります。 |