悪質なクレーム対策~カスタマー・ハラスメント対策の必要性~

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1、「カスタマー・ハラスメント」とは

一般に顧客のクレームは、商品の品質・サービス向上に繋がるものが多く、企業にプラスに作用するものが多いといえます。しかし、度が過ぎるクレームは企業にとってマイナスに作用します。近年、顧客至上主義の風潮の高まりやサービスの過当競争の激化により、日常業務の中で顧客から過度なクレームや悪質な迷惑行為を受けることが珍しくありません。SNS社会の発達、人間関係の希薄化、匿名情報の氾濫などが悪質なクレームの発生をさらに助長しています。

例えば、同じクレームを電話で1か月繰り返してきたり、「バカ、死ね」「上司に言われたくなければサービスしろ」「ネットに書かれたくなければ土下座しろ」などと言ってくるのは、クレームを超え業務妨害、人格侵害であり、ことによっては犯罪(業務妨害罪強要罪名誉棄損罪)になります。このような顧客による過度で悪質なクレームや迷惑行為を「カスタマー・ハラスメント(カスハラ)」といいます。

 

2、単なる消費者問題ではありません

これまでカスハラは、消費者問題、すなわち顧客に適切に対応すれば解決できる問題と考えられていました。

しかし、問題は消費者問題だけに止まりません。企業・雇い主がカスハラを放置するとどうなるでしょうか。真面目に働いているのに理不尽なクレームを受け続ければ、その従業員は精神的に疲弊し、これが続けばその従業員の仕事へのモチベーションは大きく低下します。また、企業がカスハラをする顧客の要求に屈してばかりいれば、職場内のモラルは大幅に低下し不正の温床となります。真面目で有能な従業員の多くはそんな職場で働き続けたいと思わなくなり、実直・有能な人材が社外に流出します。こうした負の連鎖により企業の売り上げも減少し、ひいては経営を圧迫する事態になりかねません

 

3、従業員に対し賠償責任を負うリスク

この状況は、法律的にも問題があります。企業・雇い主は従業員が安全に仕事に従事することができる環境を構築する法律上の義務があります(安全配慮義務といいます)。カスハラに毅然とした姿勢を示せず、従業員が精神的・肉体的に傷ついているのを放置することは、従業員への安全配慮義務を怠ることになり、場合によっては従業員に対する損害賠償責任が生じます

 

4、カスハラ対策の必要性

こうした事態に陥るのを防止するため、カスハラ対策を構築することが重要となります。
具体的には、
・クレームとカスハラの境界基準を社内で明確にする。
・カスハラに対する方針・姿勢を明確にする。
・カスハラの対応を担当者一人に任せるのではなく、社内で組織的に対応する。
・クレーム、カスハラの情報を社内で共有する。
・悪質なカスハラを社内で抱え込まず、警察・弁護士と連携した法的な対応を行う。

などの対策を講じることが重要となります。

もちろん業態によってカスハラの内容は異なりますので、それぞれの業態に応じたカスハラ対策を検討することが大事です。

「蟻の穴から堤も崩れる」こととならぬよう、適切なカスハラ対策を構築してください。