NHK受信契約についての最高裁判決

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(最高裁判所平成29年12月6日判決)

【事案の概要】
 NHKが、平成18年3月22日以降、住居にNHKの衛星系テレビジョン放送が受信可能な受信設備を設置しているが、受信契約を締結していない被告に対し、受信設備を設置した月以降の受信料の支払い等を求めた裁判です。

Q1.家にテレビを設置した場合、NHKを全く見なくても、NHKと受信契約を結ばないといけないのですか?
A1.
 本判決は、NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、NHKとその放送の受信についての契約をしなければならないとする放送法64条1項の規定に、法的拘束力を認めました。
 したがって、NHKの放送を視聴することが可能なテレビを設置した場合、NHKと受信契約を結ぶ義務が生じます。

Q2.受信契約の締結を拒んでいても、一方的に契約が成立するのですか?
A2.
 受信設備の設置者が受信契約の締結に応じない場合、NHKが一方的に受信契約を成立させることはできません。
 設置者の承諾なく受信契約を成立させるには、裁判をして、設置者の承諾に代わる判決を得る必要があります。
 そして、その判決が確定すれば、設置者が受信契約の締結を拒んでいたとしても受信契約が成立します。

Q3.裁判で受信契約が成立した場合、受信料はいつの分から支払わなければならないのですか?
A3.
 受信設備を設置した月の分から支払わなければなりません。
 本判決は、受信設備の設置の月から受信料を支払わなければならない旨規定する放送受信規約5条1項は、目的・方法とも妥当なものである、として、受信設備を設置した月からの受信料支払義務を認めました。

Q4.消滅時効はいつから進行するのですか?
A4.
 受信契約成立時から進行します。
 そのため、契約締結前に、受信料が時効消滅することはありません。

 以上のとおり、テレビを設置した場合、NHKと受信契約を結ばなければならないこと、設置者が受信契約の締結を拒んでいたとしても、NHKによって訴訟が提起され、設置者の承諾に代わる判決が確定すれば、受信設備を設置した月の分まで遡って受信料を支払わなければならないことが明らかになりました。
 一方、NHK受信料をめぐる問題には、ワンセグ携帯を所持している場合の受信契約締結義務の存否の問題もあります。この点について、東京高等裁判所平成30年3月26日判決は、原審のさいたま地方裁判所の判決を取り消し、受信「設備には受信機を一定の場所に設置する場合だけでなく、携帯型受信機を携行する場合も含まれる」とし、ワンセグ携帯の所持者にはNHKとの受信契約締結義務があると判断しています。