民法改正(5)~保証について その3~

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民法改正(5)~保証について その3~

 

 改正民法は、保証人に対する情報提供義務を以下のとおり、3つ新設しました。
①主たる債務者が保証人に保証委託をするにあたっての情報提供義務(下記1)
②主たる債務者の履行状況に関する債権者から保証人への情報提供義務(下記2(1))
③主たる債務者がお金を弁済せず期限の利益を喪失した場合における、債権者から保証人への情報提供義務(下記2(2))

 

1 主債務者からの情報提供

 (1)情報提供義務の内容

個人保証人が保証債務の履行が現実化するリスクを十分検討するために、主債務者が事業のために負担する債務について、個人に対して根保証を委託する場合に、下記の情報を提供すべきことが義務付けられました(改正民法465条の10第1項、第3項、※1)。

①主債務者の財産および収支の状況

②主債務以外の債務の有無・額・履行状況

③他の担保の有無・内容等の情報

 (2)保証人による保証契約の取消権

    保証人は、以下の要件を満たせば保証契約を取り消すことができることとしました(改正民法465条の10第2項、※2)。

①主債務者が当該情報提供をせず、又は事実と異なる情報を提供したことにより、保証人が主債務の財産状況等について誤認して契約した場合において、

②主債務者が情報を提供しなかったこと等を債権者が知り、又は知ることができたとき

 

※1 本条は「事業用」の債務にかかる「個人根保証」に対して適用されます。本条は、貸金等以外も含めた、事業用の根保証全般が対象となっています。

契約締結時の情報義務の対象となるものを、事業用の債務にかかる個人根保証としたのは、往々にして個人が負担する債務としては巨額になりうることを踏まえたものです。起業融資保証等を求められた場合には、主たる債務者からの情報提供を忘れずに求めるべきでしょう。

※2 取消権が規定されたことを踏まえ、債権者は主債務者の保証人に対する情報提供義務の履行状況を確認する必要がでてきます。どのような確認方法を取れば十分かという点については今後の議論の進展を待つ必要がありますが、現時点では、主債務者による情報提供状況のチェックシートを保証人に交付し、十分な情報提供を受けていることを確認する旨の署名を取得する等の方法が提案されています。

   事業のための賃貸借契約も同様に、情報提供義務の履行状況を確認する必要がでてきます。

 

 2 債権者からの情報提供

(1)保証人から請求があった場合

    主債務者から委託を受けて保証人になった者(個人・法人を問わない)から請求があった場合、債権者は遅滞なく①主債務の元本、利息、違約金等の額および②これらの不履行の有無等の情報を提供すべき義務を負うこととしました(改正民法458条の2、※3)。

    債権者が当該義務に違反した場合には、明文上の定めはありませんが債務不履行の一般法理に従った損害賠償請求、保証契約の解除が想定されています。

 

   ※3 この義務は、事業用かどうか、根保証かどうかなどに関わらず、主たる債務者から委託を受けた保証人に対して情報提供すべきとするものです。法人が保証人である場合も含みます。

 

 (2)主債務者が期限の利益を喪失した場合

    主債務者が期限の利益を喪失した場合、債権者は個人保証人に対して、期限の利益喪失を知った時から2か月以内にその旨を通知すべき義務を負うこととしました。

債権者が当該義務に違反した場合には、実際に通知するまでに生じた遅延損害金は保証の範囲から除外されることになります(改正民法458条の3、※4)。  

 

   ※4 この義務の適用対象は個人による保証に限定されていますが、根保証かどうか、また事業用かどうかに関係ありません。個人保証に限定されているのは、法人であれば生活が破たんするなどの深刻な状況にはなりにくいなどの事情を踏まえ、真に必要な場合に限定する趣旨でされています。