休眠預金等活用法の改正について

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1 長い間放置している預金はありませんか?
 毎年、10年以上取引がない預金が、1200億円ほど発生していると言われています。
 これらの資金を社会課題の解決や民間公益活動の促進など社会のために役立てるため、活用方法が議論されてきたところ、平成30年(2018年)1月1日に「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(以下、「休眠預金等活用法」と言います。)が全面施行されました。
 「休眠預金等」とは何か、「休眠預金等」になると預金はどうなってしまうのか、以下で解説します。


(1)「休眠預金等」とは何ですか。
 「休眠預金等」とは、平成21年(2009年)1月1日以降の取引から10年以上、引き出しや預け入れ等の異動のない預金等をいいます。


(2)どのような事由があると「休眠預金等」にならないのですか。
「異動のない」預金等の「異動」とは、預貯金者が今後も預金等を利用する意思を表示したものとして認められるような取引を指します。
 引き出しや預け入れなどは、全金融機関で共通の異動事由ですが、通帳の記帳のように各金融機関が行政庁の認可を受けて異動事由となるものもあり、各金融機関により異なります。


(3)「休眠預金等」になりうる預金等には、どのような種類がありますか。
 預金等には、普通預金、定期預金、貯金、定期積金などが含まれます。他方、財形貯蓄や外貨預貯金などは、ここでいう預金等に当たりません


(4)「休眠預金等」になるとどうなるのですか。
 預金保険機構に移管された後、民間公益活動に活用されます。
 なお、「休眠預金等」となった後も、引き続き金融機関で引き出すことが可能です。ただし、一定の手続が必要となる場合がありますので、詳しくは、取引のある金融機関へお問い合わせください。


(5)「休眠預金等」になりそうな預金がある場合、何か通知はありますか。
 金融機関は、最後の異動から9年が経過し、「休眠預金等」になりそうな預金等がある場合、近く移管の対象となりうる預金等の最後の異動の日などの情報を金融機関のウェブサイトで公告を行います。
 また、預金等残高が1万円以上の場合は、預け先の金融機関から登録されている住所に通知が郵送されます。通知が届けば、その預金は「休眠預金等」にはなりません。この通知は電子メールで届く場合もあります。電子メールの場合は宛先不明にならずに受信できれば「休眠預金等」にはならず、引き続き通常どおりの預金等として取り扱われます。


2 改正法が施行されています
 今般、休眠預金等活用法の施行後5年を目途として見直しが行われ、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律の一部を改正する法律」(以下、「改正法」と言います。)が令和5年6月に成立し、令和5年12月22日から施行されています
 これまでの本制度の運用は、主に、社会課題解決に取り組むNPO法人などへの助成が中心でしたが、社会問題解決のためには、資金的支援以外にも公益活動を支える人材や情報投資も重要です。
 このような観点から、改正法により、非資金的支援による団体の能力強化を行うため、もっぱら人材・情報面からの非資金的支援を行う活動支援団体を創設することや、出資の実現による資金的支援の多様化のため、指定活用団体から資金分配団体への資金提供手法として新たに出資を追加することなどが規定されました。
 日本は、人口減少、高齢化、生活困難者など様々な社会的課題に直面していますので、今後の制度の運用が注目されます。


(参考資料)
https://www.fsa.go.jp/policy/kyuminyokin/kyuminyokinQA.pdf(金融庁「休眠預金等活用法Q&A」(預貯金者の方などへ)PDF)
https://www5.cao.go.jp/kyumin_yokin/index.html(内閣府「民間公益活動促進のための休眠預金等活用」)