ペットにまつわる法的トラブルについて(その2)

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自宅敷地内での飼い犬の管理に関する問題

 
Q 自宅で飼っている犬が人に怪我を負わせた場合、飼主に民事上の責任が生じますか。

A この場合、「ペットにまつわる法的トラブル」で述べたのと同様、民法718条による飼主の損害賠償責任が問題となります。ここでも飼主が動物の種類や性質に従った相当の注意をもって管理したかどうかが問われます。犬の場合、犬の種類、大きさ、気質・性格、犬を管理していた具体的な状況などが問題となります。

 例えば、犬を自宅の敷地内で放し飼いにしていたところ、敷地内に入ってきた配送業者に咬みついて怪我を負わせた場合、飼主に民法718条の損害賠償責任が成立する可能性があります。飼主は敷地内に招き入れた人に飼い犬が咬みつかないように注意を払わなければならないからです。

 また、敷地内で鎖で留めて管理していた犬が、道路を歩いていた通行人にいきなり吠えたために通行人が驚いて転倒してけがをした場合、犬の種類・大きさ・気質や管理の態様によっては飼主に損害賠償責任が成立する可能性があります。特に、人を見ると吠えたり咬んだりする癖のある大型犬を飼っている飼主は、敷地の中であっても管理方法に注意する必要があります。

 他方、敷地内で鎖につながれた犬が、敷地内に無断で入ってきた人に怪我を負わせた場合、犬の管理方法に問題がなければ飼主の損害賠償責任は否定される可能性があります。実際、古い判例ではありますが、無断で敷地内に立ち入って被害者が犬に咬まれて負傷した事件で、敷地内で柱につないで飼育されていた犬について、飼主の損害賠償責任を否定した裁判例があります(東京地裁昭和52年11月30日判決)。

 犬の管理にまつわる法律問題は、具体的な事情によって結論が異なりますので、不明な場合は弁護士に相談して下さい。