新しい信託法とその活用例③

カテゴリー
ジャンル
“ 後妻と実子との間の利益調整がしたい ”

(後継ぎ遺贈型受益者連続相続の活用1)

 
 Aさんは、先妻が亡くなり、今般Cさんと再婚することになりました。Aさんと先妻との子Bさん(Aさんから独立している)は、AさんとCさんの再婚に反対です。Bさんの意見は、Cさんが後妻で入ってくると相続権が発生し、自宅不動産をCさんに、またCさんが亡くなるとCさんの親族に所有権が移って、結局Aさんの系統に祖先からの不動産が残らないから、再婚に反対するというものです。他方Aさんは、自分の死後、後妻Cさんに自宅で安心して住んでほしい、ただしBさんとも仲良くやってほしいと考えています。

   ↓↓↓

 こういった場合、Aが遺言でCの死後、自宅不動産をBに相続させると指示しても、民法上このような「後継ぎ遺贈」は無効と解されていますので、後妻と実子の利益調整を図ることが出来ません。

  そこで、自宅不動産を利用できる信託受益権を設定し、Bを受託者、第1次受益者をAとし、Aが死亡した後の第2次受益者をCとし、Cが死亡した場合に信託は終了し残余財産の帰属者をBとすることで、後妻の不動産利用と長男の相続権を両立させることが出来ます。