「ブラック校則」について

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Q1 「ブラック校則」とは何ですか。
A1 
 「ブラック校則」とは、明確な定義があるわけではありませんが、一般常識とかけ離れた不合理な校則のことを指すと言われています。


Q2 ブラック校則にはどのようなものがありますか。
A2 
 よく指摘されるのは、以下の事例です。
 ・髪型、髪色に対する指定
  (剃り上げの禁止、黒染めの義務化、縮毛矯正やストレートパーマの禁止)
 ・制服や下着に関するもの
  (スカート丈が厳密に決められている、下着の色を指定、靴下の色を指定)
 ・登下校時や休み時間の行動に関するもの
  (男女の組み合わせで登下校をしてはならない、寄り道をする場合は届出が必要)
 ・生徒の持ち物やプライベートな内容に関するもの
  (外泊や外出の禁止、制汗剤や日焼け止めなどの持ち込み禁止)
 ・生徒の健康に関するもの
  (運動部への入部を強制する、運動中に水分を摂ることを禁止する)


Q3 そもそも、どうして校則が定められるのですか。
A3 
 校則の位置づけとしては、「児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長・発達していくため」「児童生徒が遵守すべき学習上、生活上の規律として定められるもの」だとされています。
 校則の在り方としては、法令上は特に規定されていませんが、これまでの判例で「社会通念上合理的と認められる範囲」において、「教育目標の実現という観点から校長が定めるもの」であるとされています。それゆえ、校則内容の見直しは、最終的に教育に責任を負う校長の権限で行うということになります。
 なお、校則は、「校則」という言葉の代わりに、「生活のきまり」、「生徒心得」などと呼ぶ学校もあるようです。

(文部科学省「生徒指導提要(改訂版)」 (令和4年12月改訂)より抜粋)


Q4 校則の運用はどのように行われるものとされていますか。
A4 
 「生徒指導提要(改訂版)」には、以下の記載があります。
 「校則に基づく指導を行うに当たっては、校則を守らせることばかりにこだわることなく、何のために設けたきまりであるのか、教職員がその背景や理由についても理解しつつ、児童生徒が自分事としてその意味を理解して自主的に校則を守るように指導していくことが重要です。そのため、校則の内容について、普段から学校内外の関係者が参照できるように学校のホームページ等に公開しておくことや、児童生徒がそれぞれのきまりの意義を理解し、主体的に校則を遵守するようになるために、制定した背景等についても示しておくことが適切であると考えられます。その上で、校則に違反した場合には、行為を正すための指導にとどまるのではなく、違反に至る背景など児童生徒の個別の事情や状況を把握しながら、内省を促すような指導となるよう留意しなければなりません。」


Q5 ブラック校則について、法的問題として解決できますか。
A5 
 校則を巡る訴訟は過去にも提起されていますが、昭和60年11月3日熊本地裁が男子生徒に丸刈りを強制する校則は「違憲ではない」とする判決を出したほか、平成8年7月18日最高裁がパーマを禁じる校則が「社会通念上、不合理とはいえない」と判断。大阪地裁も令和3年2月18日、茶色っぽい髪を黒く染めるよう教諭らに強要されて不登校になったとして大阪府に損害賠償を求めた訴訟において、髪の染色などを禁じる校則は「学校の裁量権の範囲内」との判断を示し、学校側の裁量の範囲を幅広く認める司法判断が定着しています
 しかし、ブラック校則は、憲法に定められる人権規定や子どもの権利条約(※)に抵触する可能性があります。規律を求める教育現場では校則が重んじられてきましたが、人間の多様性が尊重される時代になり、校則のあり方自体が問われるようになってきています。

 
※ 子どもの権利条約
 
 18歳未満の全ての人の基本的人権を尊重することを目指す国際条約。1989年に国連総会で採択され、日本は1994年に批准しました。子どもを独立した人格と尊厳を持つ権利主体と位置付け、①子どもの意見の尊重、②子どもの最善の利益、③差別の禁止、④生命や発達に対する権利の4原則を柱としています。


Q6 ブラック校則に対する、現在の取り組みはどのようなものがありますか。
A6 
 現在は、文部科学省により、「生徒指導提要」の改訂がなされ、上記A4で記載したように、校則の内容を普段から学校内外で参照できるよう学校Webサイト等に公開しておくことや、制定の背景を示しておくことが適切との考えを示すとともに、制定から一定期間が経過し、意義を適切に説明できないような校則は、見直しを行うことが明記されました(令和4年12月改訂)。
 これをうけて、各自治体の教育委員会による実態調査、校則ガイドラインの策定、学校による自主的な校則見直し、生徒側からの要望とこれに基づく見直し、弁護士会から教育委員会への意見書提出など校則の見直しが活発化しています。