1 公正証書とは
公正証書とは、私人からの嘱託により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。遺言や離婚協議書を公正証書で作成する場合などが典型例です。
また、一定の金銭の支払を内容とする公正証書の内容として、債務者が金銭の支払をしないときは直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されている場合(これを強制執行認諾文言付公正証書といいます)には、金銭債務の不履行があったときは、裁判手続を経ることなく直ちに強制執行をすることができます。
このように、公正証書は、権利の保全や迅速な権利の実現のために、非常に大きな役割を果たします。
2 公正証書作成にかかる費用
作成手数料は、原則として、その目的価額により定められています(手数料令9条)。契約の目的の価額が100万円以下の場合、手数料は5000円、契約の目的の価額が100万円から200万円の場合、手数料は7000円となっています。
また、このほかにも作成する公正証書の種類によって、戸籍謄本などの添付書類が必要になる場合があり、その場合には、必要書類の取得費用が別途かかります。
3 養育費とは
養育費とは、子どもの監護や養育のために必要な費用のことをいいます。一般的には、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。
子どもを監護している親は、監護していない他方の親から養育費を受け取ることができます。
4 名古屋市の補助事業
(1)制度概要
名古屋市は、公正証書など、養育費に関する債務名義(注)を作成した際、作成にかかった費用について、5万円を上限として補助する事業を行っています。
注)債務名義(さいむめいぎ)とは、債権者に執行機関(執行裁判所又は執行官)の強制執行によって実現されるべき債権の存在および範囲を公的に証明した文書です。確定判決、
裁判所の和解調書・調停調書、強制執行認諾文言付公正証書などがこれにあたります。
(2)対象者
補助事業の対象となるのは、以下の①~⑤の要件をすべて満たす方です。
①児童扶養手当の支給を受けているまたは同等の所得水準にある方
②養育費の取り決めに係る公正証書などの費用を負担した方
③養育費の取り決めに係る債務名義を有している方
④養育費の取り決めの対象となる児童を現に扶養している方
⑤過去に同一の取り決めをした文書について、養育費に関する公正証書補 助金の交付を受けていない方
(3)対象期間
令和3年4月1日以降に作成された証書に関する費用が対象となります。
(4)対象となる費用
補助事業の対象となる公正証書などの作成費用は、養育費に関するものに限ります。
補助の対象となる費用は、公正証書の作成にかかった費用及び家庭裁判所の申立て又は裁判にかかった費用です。公正証書の作成にかかった費用とは、公証人手数料(5000円~)や戸籍謄本などの公正証書作成時に必要な添付書類の取得のためにかかった費用です。家庭裁判所の申立てまたは裁判にかかった費用とは、養育費の請求にかかる申立の際に、裁判所に納める収入印紙代などです。
また、申請期限は、上記(2)の①~⑤の要件を満たした日の翌日から6か月以内です。
申請書などの必要書類は、名古屋市のHPから様式をダウンロードできます。