「墓じまい」「実家じまい」

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1.墓じまい

最近、「墓じまい」をするご家庭が増えてきたそうです。お年寄りから子供まで一緒に生活していた大家族では、子供は人間の死を経験しお墓をお守りすることが当然と教えられてきました。しかし、少子高齢化・核家族化が進んだことにより人間の死が非日常となったこと、遠方に居住する者にとってお墓のお守りが困難となったことなどが墓じまいの原因と言われています。また、自分の死後に子供や孫に迷惑を掛けたくないという責任感が墓じまいを促進させているのかもしれません。
 もっとも「墓じまい」において、お墓に納められている遺骨を勝手に取り出して別の場所(例えば永代供養墓や屋内霊園)に納骨したり廃棄したりすることは、直ちにはできません。市町村役場に改葬許可申請を出し、自治体の許可証の発行が必要(墓地、埋葬等に関する法律第5条)ですのでご注意ください。
 お墓は民法では「祭祀財産」に分類され、祭祀承継者が受け継ぐものとされています。また、お墓には多くの人々の思いが関わるため、「墓じまい」にはご親族との協議が欠かせませんし、菩提寺ともよくご相談のうえ進めることが肝要です。


2.実家じまい
(1)「実家じまい」とは
 「実家じまい」とは、実家に住んでいた両親が亡くなったり施設に入ったりするなどで空き家の状態になった住宅を売却・処分することです。実家じまいを行う理由としては、以下の点が挙げられます。
ア 固定資産税・都市計画税の発生および支払い。誰しも利用しない住宅について税金を負担するのは消極的になります。
イ また、老朽化した住宅の設備のメンテナンスや更新などの手間が発生します。
ウ さらに、誰も住んでいない住宅は、草木が生い茂り、不法投棄の対象になりやすいため、景観や衛生の観点から近隣住民とのトラブルが予想されます。防犯上のリスクも想定されます。
(2)実家の処分方法
 実家の処分方法としては、解体のうえ更地として売却するのか、または空き家の状態のまま土地と建物を売却するかのどちらかを選択することになります。
 住宅を解体してから更地として売却する場合、解体費用は基本的に売主の負担となります。解体業者は基本的には住宅内の家財道具類を撤去することはしないため、事前に廃棄物処理業者を利用するなどして片付けしておくことが大切です。
 なお、住む人がいなくなった実家を売る際には、3年以内に売却すれば税金の特別控除が受けられます。家の売価から最高で3000万円までの控除が受けられる可能性がありますのでご検討ください(国税庁ウェブサイト「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」参照)。