Q1.会社の代表者として会社を経営していましたが、資金繰りが悪化し、破産を考えています。会社の代表者として会社の債務の連帯保証人となっていますが、私個人も破産申し立てをしなければなりませんか?
A1.
法人が破産する場合でも、「経営者保証に関するガイドライン」(経営者保証ガイドライン)を活用することができれば、個人破産を選択せずともよい場合があります。
Q2.経営者保証ガイドラインとはどのような制度ですか?
A2.
経営者が会社の債務について連帯保証をしている場合に、会社が破産すれば、経営者が保証債務を履行しなければならない状況に陥ることとなります。
しかし、経営者保証ガイドラインを利用すれば、経営者個人の破産を回避しながら保証債務の整理をすることが可能となります。
Q3.経営者保証ガイドラインを利用する具体的なメリットは何ですか?
A3.
経営者保証ガイドラインを利用するメリットは以下のとおりです。
① 個人破産を選択した場合、原則として、99万円以下の自由財産や拡張自由財産しか手元に残すことができません。しかし、経営者保証ガイドラインを利用すれば、経済合理性の範囲内で一定期間の生計費に相当する額の現金・預金や華美でない自宅等のインセンティブ資産を残すことができます。
② 信用情報機関に登録されません。
破産の場合は、信用情報登録機関に報告・登録がされますが、経営者保証ガイドラインを利用した場合は、信用情報登録機関に登録されません。
Q4.経営者保証ガイドラインを利用するための条件はありますか?
A4.
経営者保証ガイドラインを利用するためには下記のような要件を充たす必要があります。
① 保証契約の主たる債務者が中小企業であること
② 保証人が個人であり、主たる債務者である中小企業の経営者であること。
ただし、第三者保証人も利用は妨げられない。
③ 主たる債務者及び保証人の双方が弁済に誠実であり、対象債権者の請求に応じ、それぞれの財産状況等(負債の状況を含む。)について適時適切に開示していること
④ 主たる債務者及び保証人が反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと
⑤ 主たる債務者が破産手続き等の申立てをガイドラインの利用と同時に現に行い、又は、これらの手続きが継続し、若しくは既に終結していること
⑥ 主たる債務者の資産および債務並びに保証人の資産及び保証債務の状況を総合的に考慮して、主たる債務及び保証債務の破産手続による配当よりも多くの回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとっても経済的な合理性が期待できること
⑦ 保証人に破産法第252条第1項(第10号を除く。)に規定される免責不許可事由が生じておらず、そのおそれもないこと
Q5.その他、経営者保証ガイドラインを利用する際の留意点はありますか?
A5.
経営者保証ガイドラインを利用する際に以下の留意点があります。
① 経営者保証ガイドラインの対象となる債権者は、原則、金融債権を有する金融機関等に限られるため、住宅ローンやカードローンなどの債権者は、経営者保証ガイドラインの対象にはなりません。
② 経営者保証ガイドラインを利用するためには、全債権者の同意が必要となります。