新NISA制度について

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Q1、「NISA」とは何ですか。
A1、
 通常、株式や投資信託などの金融商品を売買して利益を得た場合や配当金を受け取った場合、得た利益に対して約20%の税金がかかります。これに対し、「NISA口座(非課税口座)」内で購入した金融商品から得た利益は、毎年一定金額の範囲内で税金がかからなくなる制度となっています。
 「NISA」は、Nippon Individual Savings Accountの略称です。


Q2、NISAが導入されたのはどうしてですか。
A2、
 2023年に日本銀行が発表した資金循環統計(速報)によると、日本の家計金融資産構成は、50%以上が「現金・預金」となっており、「保険」等が約25%、「株式等・投資信託」の割合は合計約15%と、「株式等・投資信託」の割合が、「現金・預金」の3分の1程度にとどまっています。他方、米国では、「現金・預金」が約13%であるのに対し、「株式等・投資信託」の割合は約51%に上ります。
 1990年頃までの日本では、預貯金の金利が高く設定され、各家庭もお金を預けておくだけで資産を膨らませることができました。また、日本では、長らく緩やかなデフレ環境が続いていたため、資産を「現金・預金」にとどめておくことが、資産価値の減少を防ぐ選択肢の一つでした。このような背景から、多くの日本人が株式や投資信託等への投資よりも預貯金の貯蓄を行っていたのです。
 しかし、預貯金の金利が0.03%程度という低水準を推移し、経済的にインフレの局面を迎えつつある現在の日本で、将来にわたって個人の金融資産を増やしていくためには、預貯金から株式などへと個人の資産を移動し、企業価値の向上による恩恵が個人にも及ぶという好循環を作り上げる必要があります。政府はこうした考えのもと、「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げてきました。
 そこで、2014年から、英国版ISAを参考に、日本版ISA(旧NISA)が実施されることになりました。

Q3、旧NISAはどのような制度ですか。
A3、
 旧NISAには、「一般NISA」と「つみたてNISA」という2つの制度があります。「一般NISA」と「つみたてNISA」はどちらか一方を選択して利用可能です。


Q4、旧NISAの「一般NISA」と「つみたてNISA」の違いは何ですか。
A4、
 一般NISAの投資対象は、上場株式、投資信託など幅広く認められていますが、つみたてNISAの投資対象は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定されています。
 年間投資枠は、一般NISAでは120万円まで、つみたてNISAでは40万円までと一般NISAの方がつみたてNISAより多くなっています。他方、保有期間は、一般NISAでは最長5年、つみたてNISAでは最長20年とつみたてNISAの方が一般NISAより長期間保有し続けることができます。そのため、毎年満額を積み立てた場合、保有限度額は、一般NISAでは600万円、つみたてNISAでは800万円と、つみたてNISAの方が一般NISAより多くなります。


Q5、2024年から新NISA制度が導入された理由はどこにありますか。 
A5、
 2014年から始まった旧NISAは、制度開始から10年目の2023年末をもって終了しました。旧NISAは、多額の投資枠が魅力の「一般NISA」と長期の投資期間が魅力の「つみたてNISA」に分かれ、いずれか一方しか選択できませんでした。また、長期の投資期間が魅力の「つみたてNISA」でも投資期間は20年間と制限がありました。
 新NISAでは、上記の制限を取り払い、保有期間の無期限化、つみたて投資枠と成長投資枠の併用、被課税保有限度額の増額などが制度として採用されました。
 なお、旧NISA制度が広く知られるようになったとはいえ、2022年までの利用割合は約6人に1人とまだまだ投資人口が多いとはいえません。新NISA制度への拡充により、制度の政策目的である成長資金の供給拡大を促しつつ、家計の安定的な資産形成をさらに推し進めていくことで、さらにより多くの人に利用してもらうことが期待されています。


Q6、2024年から新しく始まった新NISA制度の概要を教えてください。
A6、
 2024年1月1日以降、現行NISA制度の拡充・恒久化が図られ、新しいNISAが導入されました。新NISAでは、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」があり、旧NISAの一般NISAとつみたてNISAの併用のような制度となっています。
 年間投資枠は、最大360万円(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円で併用可)まで投資が可能となりました。また、保有限度額は1800万円まで拡充されます。従前、最長5年(一般NISA)又は10年(つみたてNISA)であった非課税保有期間も無期限となりました。NISA制度について、詳しくは、金融庁ホームページ(NISA特設ウェブサイト : 金融庁 (fsa.go.jp))をご覧ください。
 新NISAの導入により、政府が株式や投資信託等への投資をさらに促進・奨励しているようですが、当然、利益が出る場合もあれば、大きな損失が生じることもあり、全て自己責任となります。そのため、もし株式や投資信託等への投資をするにあたっては、十分な情報収集と、自らの投資目的、資産規模、人的属性に見合った投資方法を選択する必要があります。

 

 

一般NISA

つみたてNISA

新NISA

利用できる方

18歳以上

18歳以上

18歳以上

投資対象

株式・投資信託

一定の投資信託

つみたて投資枠では一定の投資信託

成長投資枠では一定の上場株式・投資信託等

年間投資枠

120万円/年

40万円/年

つみたて投資枠では120万円/年

成長投資枠では240万円/年

保有限度額

600万円

800万円

1800万円(このうち成長投資枠のみでは1200万円まで)

保有期間

最長5年間

最長20年間

無期限化

口座開設期間

2014年~2023年

2018年~2023年

恒久化