刑法の一部が改正されました

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第193回国会において平成29年6月16日、刑法の一部改正案が成立し、平成29年7月13日から施行されています。以下に改正刑法の要点を列挙します。

1、性犯罪の非親告罪化
 従来の「強姦罪」(改正後の「強制性交等罪」)、「準強姦罪」(改正後の「準強制性交等罪」、「強制わいせつ罪」、「準強制わいせつ罪」などについて、被害者の告訴がなくても加害者を起訴できるようになりました。

2、「強姦罪」から「強制性交等罪」への変更
 現行刑法は、暴行又は脅迫を用いて「女子を姦淫」したことを「強姦」と規定し、被害者を女性に限定していますが、改正後は、被害者の性別を問わないものとし、暴行又は脅迫を用いて「性交、肛門性交又は口腔性交(以下、「性交等」という。)」することを「強制性交等」と規定し、これらの行為を行う者を処罰することとしました。
 また、従来の「準強姦罪」も同様に「準強制性交等罪」に改められます。

3、監護者による性犯罪に関する規定の新設
 「監護者わいせつ罪」「監護者性交等罪」が新設され、18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力に乗じてわいせつな行為をした者や性交等をした者は、暴行又は脅迫を用いない場合であっても、「強制わいせつ罪」「強制性交等罪」と同様に処罰されます。
 なお、「現に監護する者」とは、「現にその者の生活全般にわたって、衣食住などの経済的な観点、生活上の指導監督などの精神的な観点から依存、被依存ないし、保護、被保護の関係が認められ、かつその関係に継続性が認められることが必要である」とされています。

4、性犯罪に関する法定刑の引き上げ
 以下の罪について、法定刑が引き上げられました。
①現行「強姦罪」(3年以上の有期懲役)
⇒「強制性交等罪」(5年以上の有期懲役)
②現行「強姦致死傷罪」「準強姦致死傷罪」(無期又は5年以上の有期懲役)
⇒「強制性交等致死傷罪」「準強制性交等致死傷罪」(無期又は6年以上の有期懲役)