改正区分所有法が施行されました

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Q1.私はマンションの管理組合の理事をしています。令和7年に区分所有法が大改正され、令和8年4月1日から施行されると聞いています。どのような改正があったのでしょうか。
A1.
 令和7年の区分所有法の改正では、区分所有建物について、大まかに(1)管理の円滑化、(2)再生の円滑化を目的とした改正がなされています。


Q2.(1)管理の円滑化を目的に具体的にはどのような改正がなされたのですか。
A2.
①区分所有者の管理に関する一般的義務
 区分所有者に管理に関する一般的義務があることが明文化されました(改正区分所有法5条の2)。

②集会決議の円滑化
 所在が不明または連絡がつかない区分所有者(所在等不明区分所有者)を除外して、それ以外の区分所有者(一般区分所有者)によって集会決議をすることができるようになりました(改正区分所有法38条の2、以下単に条項のみ記載します)。
 なお、所在等不明区分所有者を決議から除外するためには、裁判所の決定を必要とします。
 また、普通決議(39条1項)、共有部分の変更(17条1項)、規約の設定・変更・廃止の決議(31条1項)等の決議について、出席者の多数による決議(出席者多数決)ができるものとされました。

③区分所有建物の管理に特化した財産管理制度
 専有部分について、所有者やその所在が不明であったり、管理が不十分であったりする場合には、裁判所が選任した所有者不明専有部分管理人又は管理不全専有部分管理人が専有部分の管理を行うという制度・規定が新設されました(46条の2、46条の8)。
 共用部分についても管理が不十分な場合に、管理不全共用部分管理人が選任され、共用部分の管理を行う仕組みが設けられました(46条の13)。

④多数決要件の緩和
 共用部分の変更については、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決するというこれまでの原則は維持されますが、他人の権利または法律上保護される利益が侵害される恐れがある場合やバリアフリーの観点から利便性及び安全性を向上させるために必要な場合は、例外として3分の2の多数により決定することができるようになりました(17条1項、5項)。

⑤専有部分の保存・管理の円滑化等
 専有部分又は共用部分を保存または改良するために、他の区分所有者の占有部分に立ち入ってその使用を請求することができるだけでなく、必要な範囲内で保存の請求をすることができるようになりました(6条2項前段)。
 また、専有部分の使用等を伴う共用部分の管理・変更を行う場合に、規約に特別の定めがあれば専有部分の保存行為、またはその性質を変えない範囲においてその利用若しくは改良を目的とする行為を、集会の決議で決定することができるようになりました(18条4項)。
 さらに、管理組合法人による区分所有権等の取得が明文で認められ(52条の2第1項)、区分所有者が国外にいる場合において国内管理人を設けることができるようになりました(6条の2第1項)。

⑥共有部分等にかかる請求権の行使と円滑化
 管理者が、損害賠償請求などに関して、区分所有権の譲渡等により区分所有者でなくなった者(もと区分所有者)を含めた区分所有者を代理して、代理権の行使及び訴訟追行(代理権行使等)ができるようになりました(26条2項)。

⑦管理に関する事務の合理化
 規約の閲覧方法について、規約が電磁的記録で作成されているときは、規約のデータをメールで送付するなど、電磁的記録に記録された情報を電磁的方法により提供することができることが条文化されました(33条3項前段)。


Q3.(2)再生の円滑化を目的に具体的にはどのような改正がなされたのですか。
A3.
①建て替え決議について
 建て替え決議について、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数による集会決議で決するというこれまでの原則は維持されますが、改正によって、除外決定を裁判所で受けた区分所有者を除いた区分所有者(一般区分所有者)によって決議ができるようになり、また緩和事由(地震に対する安全性不適合、火災に対する安全性不適合、外壁等の剥離・落下による危害のおそれ、給排水等設備の損傷・腐食等により著しく衛生上有害となる恐れ、バリアフリー基準への不適合)が認められる場合は、区分所有者及び議決権の各4分の3の多数により決議できるようになりました(62条2項1~5号。
 また、建て替え決議がなされた場合は、専有部分の賃借人に対し、賃貸借の終了を請求することができるようになりました。終了請求から6か月の経過によって専有部分の賃貸借は終了します(64条の2)。

②建物の更新(一棟リノベーション)
 マンションを再生させるために、建物の更新決議が可能になりました(64条の5)。

③建物敷地売却、建物取り壊し敷地売却、建物取壊し
 老朽化したマンションについて、集会において建物敷地売却、建物取壊し敷地売却、建物取壊しをそれぞれ決議することができるようになりました(64条の6~64条の8)。


Q4.今回の区分所有法改正にあたって、マンション管理組合としてやるべきことはありますか。
A4.
 マンション管理規約の改正が必要になると考えられます。法務局のホームページにて「マンション標準管理規約」というひな形を公開していますので、こちらを参考にしつつ、管理規約の改正を検討することになるかと思います。