空き家対策特別措置法について

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放置しておくと危険が想定される空き家に対して、自治体が撤去や修繕などを命令できる、いわゆる「空き家対策特別措置法」が全面施行されています。

1、法律制定の背景
 適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命、身体又は財産を保護し、生活環境の保全、空き家等の活用のための対策が必要との理由から、空き家等対策に関する特別措置法(以下「空き家対策特別措置法」といいます)が、平成27年2月26日から施行されています。
 現在空き家は、全国で約820万戸(平成25年)、空き家率(総住宅数に占める割合)は13.5%となっています。このため、現在(平成26年10月)401の自治体が空き家条例を制定している状況です。

 

2、空き家とは(第2条)
(1)「空き家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)をいいます。
(2)「特定空き家等」とは、ア、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、イ、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、ウ、著しく景観を損なっている状態、エ、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると認められる空き家等をいいます。

3、施策の概要
・国土交通大臣及び総務大臣は、空き家等に関する施策の基本指針を策定する(5条)。
・市町村は、基本指針に即して空き家等対策計画を定め(6条)、その作成等及び実施に関する協議を行うための協議会を組織する(7条)。
・都道府県は、市町村に対して技術的な助言、市町村相互間の連絡調整等必要な援助をする(8条)。

4、特定空き家等に対する措置(14条)
 特定空き家等に対しては、除去、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言、勧告、命令が可能となり、さらに要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行が可能となりました。

5、財政上及び税制上の施策(15条) 
・市町村が行う空き家等対策の円滑な実施のため、国及び地方公共団体による空き家等に関する施策実施に要する費用の補助、地方交付税制度の拡張を行う
・今後必要な税制上の措置を行う
 税制上の措置としては、現在のところ以下のとおりです。
①市町村長が「特定空き家等」の所有者に対し周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告した場合は、当該特定家屋等の敷地について、固定資産税の住宅用地特例(200㎡以下の部分は固定資産税の課税標準の6分の1、200㎡を超える部分は3分の1にそれぞれ減額)の対象から外す。
②相続人が相続により生じた古い空き家を平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合、譲渡所得税から3000万円を特別控除する。